建物の表題部の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 建物の表題部所有者であるAの申請によりされたAを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記が錯誤により抹消された場合には、その建物の所有者Bの申請又は職権により、当該建物ついての表題登記を改めてすることとなる。
イ 建物の表題部所有者の相続人を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記が錯誤により抹消された場合には、登記官において当該表題部所有者が所有権を有していたことを確認することができるときであり、かつ、当該建物が現存するときであっても、当該建物の登記記録は閉鎖される。
ウ 建物を新築した場合において、不動産工事の先取特権の保存の登記がされた建物の建築が完了したときは、当該建物の所有者は、当該建物の表題登記を申請する必要がない。
エ 所有権の登記がある建物の附属建物を新築する場合において、不動産工事の先取特権の保存の登記がされた後附属建物の建築が完了したときは、当該附属建物が属する建物の所有権の登記名義人は、遅滞なく、当該附属建物の新築による建物の表題部の変更の登記を申請しなければならない。
オ Aが表題部所有者である甲建物と、Aが表題部所有者である乙建物の附属建物として登記されている丙建物とが、増築工事により一個の建物となった場合には、甲建物と丙建物が一個の建物となった日から1月以内に、合体後の建物についての建物の表題登記並びに合体前の甲建物及び乙建物についての表題部の登記の抹消を申請しなければならない。
1 アイ 2 アエ 3 イウ 4 ウオ 5 エオ
ア 〇 / イ ×
表題部所有者名義でされた所有権の保存の登記の抹消をした場合の登記記録は、閉鎖するものとされている。これは、所有権のないことを理由に抹消された所有権の保存の登記の名義人を改めて表題部所有者として復活登記するのは相当ではないからである。
しかし、表題部所有者の相続人名義でされた所有権の保存の登記を抹消した場合は、登記記録を閉鎖せずに存置し、表題部所有者に関する登記事項を回復することとされている。
ウ ×
建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記をした場合において、建物の建築が完了したときは、当該建物の所有者は、遅滞なく、所有権の保存の登記を申請しなければならない。その前提として、当該建物の表題登記を申請しなければならない。。この場合は、当該先取特権の保存の登記をした際に、設計書により記録された種類、構造及び床面積が抹消され、改めて現況の種類、構造、床面積が記録されるとともに、当該先取特権の保存の登記の際に記録されなかった家屋番号及び表題部所有者に関する登記事項が記録されることになる。
エ 〇
所有権の登記がある建物の附属建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の保存の登記をした場合において、附属建物の建築が完了したときは、当該附属建物が属する建物の所有権の登記名義人は、遅滞なく、当該附属建物の新築による建物の表題部の変更の登記を申請しなければならない。
この場合は、当該先取特権の保存の登記をした際に、設計書により記録された当該附属建物の種類、構造及び床面積が抹消され、改めて当該附属建物の現況の種類、構造及び床面積が記録されるとともに、当該附属建物の符合が記録されることになる。
オ ×
甲建物と乙建物の附属建物とが合体した場合は、乙建物について当該附属建物を分割する登記をした後でなければ、合体による登記等をすることができない。