次の対話は、土地の滅失の登記に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
教授: 土地が滅失した場合には、いつまでに当該土地の滅失の登記を申請しなければなりませんか。
学生:ア 滅失した土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、当該土地が滅失した事実を知った日から1月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければなりません。
教授: 一筆の土地の全部を掘って池を作り、常時水面下に没するようになった場合には、当該一筆の土地について、土地の滅失の登記を申請しなければなりませんか。
学生:イ はい、土地の滅失の登記を申請する必要があります。
教授: それでは、国土交通大臣の免許を受けて、一般運送の用に供する目的で一筆の土地の全部を掘って人工的に水路を設けたことにより、当該一筆の土地が常時水面下に没するようになった場合には、当該一筆の土地について滅失の登記を申請しなければなりませんか。
学生:ウ はい、土地の滅失の登記を申請する必要があります。
教授: それでは、春分又は秋分における満潮時において、一筆の土地の全部が海面下に没するようになった場合には、当該一筆の土地について、土地の滅失の登記を申請しなければなりませんか。
学生:エ はい、土地の滅失の登記を申請する必要があります。
教授:がけ崩れによって一筆の土地の一部が常時海面下に没するようになった場合には、当該一筆の土地について、土地の滅失の登記を申請しなければなりませんか。
学生:オ いいえ、この場合は全部が滅失したとは言えません。この場合には、一筆の土地の一部が海面下に没したことによる地積の変更の登記の申請をすることになります。
1 アウ 2 アエ 3 イウ 4 イオ 5 エオ
ア ×
土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から1月以内に、当該土地の滅失の登記をしなければならない。申請義務の起算日は、滅失の日であり、滅失した事実を知った日ではない。
イ × / ウ ×
イの場合、いまだ登記能力は失われておらず、用水を貯留する目的に着目し、その目的が耕地かんがい用の貯留地であるかどうかにより、地目を「池沼」又は「ため池」に変更する登記を申請することになる。
また、ウの場合も、いまだ登記能力は失われておらず、地目を「運河用地」に変更する登記を申請することになる。
エ 〇
潮の干満の差がある水面にあっては、春分、秋分における満潮時を標準として定めるものとされている。春分又は秋分における満潮位において、一筆の土地の全部が海面下に没するようになった場合には、当該一筆の土地について、滅失の登記を申請しなければならない。
オ 〇
一筆の土地の一部が常時海面下に没するようになった場合は、「一部海没」を登記原因とする地積の変更の登記を申請することになる。