A、B及びCが各3分の1の持分で甲土地を共有している場合に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 甲土地について、無権利者であるDが単独で所有する旨の不実の登記をした場合には、Aは、B及びCの同意を得ない限り、Dに対して、その登記の抹消を請求することはできない。
イ 第三者Dが違法に甲土地を占有している場合には、Aは、B及びCの同意を得なくても、Dに対して、甲土地の明渡しを請求することができる。
ウ AがB及びCに無断で甲土地に変更を加える行為をしている場合において、Bは、Cの同意を得ていないときは、Aに対して、当該行為の禁止を求めることはできない。
エ 第三者Dが違法に甲土地を占有している場合には、Aは、Dに対して、B及びCに生じた損害についての賠償を請求することができない。
オ A、B及びCが共同して甲土地をDに賃貸している場合において、Dに債務不履行があるときは、Aは、B及びCの同意を得なくても、当該賃貸借契約を解除することができる。
1 アウ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 エオ
ア × / イ 〇
共有物に関する保存行為は、各共有者がすることができる。共有である不動産が、無権利者である第三者の登記名義となっている場合には、共有物に関する保存行為として、各共有者が単独で当該登記の抹消を請求することができる。また、共有である土地を第三者が違法に占有している場合にも、共有物に関する保存行為として、各共有者が単独で当該土地の明渡しを請求することができる。
ウ ×
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。本肢の場合、Bは、単独でAに対して、甲土地に変更を加える行為の禁止を求めることができ、もし、、変更してしまったら、原状に復させることを求めることもできる。
エ 〇
共有である不動産の不法占拠者に対して、各共有者は、その持分に応じて、分割された損害賠償の額を請求することができる。したがって、各共有者は、自己の持分に応じた金額についてのみ請求すべきであり、他の共有者の分も含めた全損害額の賠償を請求することはできない。
オ ×
共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することとされている。共有物の賃貸借やその解除も、管理行為として持分の価格に従い、その過半数で決する。したがって、持分が3分の1であるAは、単独で賃貸借契約を解除することはできない。