次の対話は、相続に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまっでの学生の解答のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
教授: まず、法定相続分の算定について考えてみましょう。被相続人Xの相続人が配偶者Aと兄Bのみであるときは、Bの法定相続分はどうなりますか。
学生:ア Bの法定相続分は4分の1となります。
教授: 次に、被相続人Yには配偶者Cとの婚姻中の子D及びEがおり、Dの子FがYの養子でもある場合において、Yの相続開始時にはCとDが既に死亡していたためにYの相続人がEとFのみとなるときは、Fの法定相続分はどうなりますか。
学生:イ Fは、Dの代襲者の資格とYの子の資格の双方で相続人となりますので、Fの法定相続分は3分の2となります。
教授: これからは、被相続人Zの相続人が子G及びHのみであり、甲不動産がZの遺産に属するという事例について検討しましょう。Gは甲不動産について、遺産の分割の方法によらずに民法第256条第1項に規定する共有物の分割の請求をすることはできますか。
学生:ウ はい。Gは甲不動産について法定相続分に相当する共有持分を有しているので、民法256条第1項に規定する共有物の分割の請求をすることができます。
教授: それでは、GとHとの間で甲不動産をGが単独で取得する旨の遺産分割協議が成立したにもかかわらず、Hが、その旨の登記がされる前に、甲不動産について法定相続分に相当する2分の1の共有持分を有しているとして、これをIに譲渡し、その旨の登記がされたとします。この場合において、Gは、Iに対して、甲不動産について自らの法定相続分を超える部分の所有権を承継したことを主張することができますか。
学生:エ いいえ。当該遺産分割協議に基づく所有権の移転の登記がされていませんので、Gは、Iに対して自らの法定相続分を超える部分の所有権を承継したことを主張することができません。
教授: では、Zが「遺産である甲不動産を相続人Gに相続させる。」との遺言をし、これがGに甲不動産を単独で相続させる旨の遺産分割の方法の指定と認められる場合には、甲不動産の所有権は、遺産分割の協議又は審判を経ることなく、Zの死亡の時に直ちに相続によりGに承継されますか。
学生:オ いいえ。遺産分割の協議又は審判を経ることなく、甲不動産の所有権がGに承継されることはありません。
(参考)
民法
第256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割しない旨の契約をすることを妨げない。
1 アイ 2 アエ 3 イウ 4 ウオ 5 エオ