任意代理に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aの任意代理人Bが、Aのためにすることを示して、Cからその所有する建物を買い受けた場合において、Bが当該建物に瑕疵があることを知っていたときは、Aは、Cに対し、売主の瑕疵担保責任を問うことができない。
イ Aから何らの代理権も与えられていないBが、Aのためにすることを示して、A所有の不動産をCに売却した場合において、Cが、Bに売買契約を締結する代理権があると信じ、そのように信じたことに正当な理由があるときは、表見代理が成立する。
ウ 未成年者も任意代理人になることができるが、未成年者のした代理行為は、その法定代理人が取り消すことができる。
エ 本人Aの許諾を得て任意代理人Bが復代理人Cを選任した場合には、Bは、Aに対し、Cの選任につき責任を負わない。
オ 代理権を有しない者がした契約の本人による追認は、その契約を相手方が取り消した後は、することができない。
1 アウ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 エオ
ア ○
代理行為について瑕疵があるか否かは、原則として、実際に行為をした代理人自身について決定される(101j条1項)
イ ×
表見代理が成立するためには、代理権授与の表示、基本代理権の存在、かつてあった代理権が代理行為当時には消滅していたことのいずれかが要件となっている。
ウ ×
代理人には行為能力は不要である。制限行為能力者である代理人の行為により本人が不利益を被るおそれがあるが、その本人は、そのような者を代理人に選任した以上、その不利益を受任すべきである。
したがって、本人は、代理人が制限行為能力者であることを理由に、当該契約を取り消すことができない。
エ ×
任意代理人は、本人の許諾がある場合もしくはやむを得ない事由がある場合に、復代理人を選任することができる。原則として、復代理人の選任・監督につき代理人は責任を負うが、本人の指名に基づいて復任した場合(復代理人が不適任または不誠実なことを知りながら本人への通知または解任を怠ったときを除く)、選任・監督の責任を負わない。本旨の場合、本人の指名に基づいた復任ではないため、原則どおり復代理人の選任・監督につき代理人は責任を負う。
オ ○
相手方の取消権が行使された後は、本人は追認することができない。一方、本人の追認があった後は、相手方は取消権を行使することができない。つまり、取消権と追認権は、いずれか先に行使された方が優先することになる。