防火管理者とは、どのような建物に必要なのか。そして、防火管理者になるためには資格が必要であり、どのように資格を取得するのかについて説明しています。
★建物の用途が、飲食店や物品販売店舗などの不特定多数の方が出入りする場合、建物全体の収容人員が30人以上で防火管理者の選任と消防署への届出が必要です。
★建物の用途が、共同住宅や事務所などの特定の方が使用する場合、建物全体の収容人員が50人以上で防火管理者の選任と消防署への届出が必要です。
防火管理者とは、防火対象物において防火管理上必要な業務を適切に遂行できる管理的、監督的な地位にある者をいいます。
建物のオーナーはもちろんですが、オーナーから直接指示を受けたり、オーナーに意見を述べ防火管理上必要な事項を従業員に指示するなどの行為を行う地位にあるものです。
雑居ビルや一つの敷地に多数の建物が建っている場合は、防火管理者の人数が変わってきます。⇒クリック
「防火管理者」の資格を取得する方法は、一番多いパターンは、指定する法人が主催する防火管理講習を修了し、効果測定試験に合格する方法です。甲種で2日、乙種で1日の講習があります。
札幌市の場合は、「公益財団法人札幌市防災協会」で実施しております。
詳細は「札幌市防災協会」のホームページで確認してください。
ちなみに、「甲種防火管理講習」は2日間の講習で、「乙種防火管理講習」は1日での講習です。
講習で資格を取得する他に、一部の元消防職員・団員や警察官など一定の学識経験を有すると認められる者は、その証明書を添えて消防署へ申請すれば、講習会の受講や試験を受けなくても甲種及び乙種と同等の防火管理者であるとの資格を付与されます。
甲種防火管理者になるための要件(すべての建物に有効) | |
1 | 指定の法人が行う「甲種防火管理講習」を受講した者 |
2 | 大学又は高等専門学校で防災に関する学科又は課程を修めて卒業した者で1年以上防火管理の実務経験を有する者 |
3 | 市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職に1年以上あった者 |
4 | 労働安全衛生法に規定する安全管理者として選任された者 |
5 | 防火対象物点検資格者免状の交付を受けている者 |
6 | 危険物保安監督者として選任された者で、甲種危険物取扱者免状の交付を受けている者 |
7 | 鉱山保安法に規定する保安管理者又は保安統括者として選任さらた者 |
8 | 国若しくは都道府県の消防の事務に従事する職員で、1年以上管理的又は監督的な職にあった者 |
9 | 警察官又はこれに準ずる警察職員で、3年以上管理的又は監督的な職にあった者 |
10 | 建築主事又は一級建築士の資格を有する者で、1年以上防火管理の実務経験を有する者 |
11 | 市町村の消防団員で、3年以上管理的又は監督的な職にあった者(班長以上の階級に3年以上あった消防団員) |
12 | 上記各号に掲げる者に準ずる者で、総務省令で定めるところにより、防火管理者として必要な学識経験を有すると認められる者 |
乙種防火管理者になるための要件(小規模な建物用) | |
1 | 指定の法人が行う「乙種防火管理講習」を受講した者 |
2 | 甲種防火管理者になるための要件を有する者 |
防火管理者の資格には、甲種と乙種の2種類があり、防火対象物の用途や規模により分けられます。
甲種防火対象物には「甲種防火管理講習」を修了した者が、乙種防火対象物には「甲種防火管理講習」又は「乙種防火管理講習」を修了した者がなる必要があります。
つまり、甲種防火管理講習の修了者は、すべての防火対象物で防火管理者になることができますが、乙種防火管理講習の修了者は小規模な防火対象物の防火管理者にしかなることができません。「大は小をかねる」ということですね。
防火対象物の資格区分 | |||||
資格区分 | 甲種防火管理者 | 甲種又は乙種防火管理者 | |||
区 分 | 甲種防火対象物 | 乙種防火対象物 | |||
用 途 | 自力避難困難者が入所する防火対象物 | 左記を除く特定防火対象物 | 非特定防火対象物 | 特定防火対象物 | 非特定防火対象物 |
建物の延べ面積 | 全て | 300㎡以上 | 500㎡以上 | 300㎡未満 | 500㎡未満 |
建物の収容人員 | 10人以上 | 30人以上 | 50人以上 | 30人以上 | 50人以上 |
たとえば、収容人員が35人の飲食店や物品販売店舗があったとします。その延べ面積が300㎡以上であれば、甲種の資格が必要で、300㎡未満であれば、甲種の資格でももちろんかまいませんが、乙種の資格でも足りるということです。
テナントの資格区分 | |||||||
区 分 | 甲種防火対象物のテナント | 乙種防火対象物のテナント | |||||
テナント用途 | 自力避難困難者が入所する用途 | 左記を除く特定用途 | 非特定用途 | 自力避難困難者が入所する用途 | 左記を除く特定用途 | 非特定用途 | 特定用途・非特定用途 |
テナント収容人員 | 10人以上 | 30人以上 | 50人以上 | 10人未満 | 30人未満 | 50人未満 | 全て |
資格区分 | 甲種防火管理者 | 甲種又は乙種防火管理者 |